樹木の下、タープの下、バンガローの下。アウトドアライフでは、「外」という一言ではあまりある、様々な光や空気の状態を満喫することができる。
私達は、そんな豊かな住まいを目指し、開放的な環境を望む崖地に、徐々に室内化の深度を増してゆく、幾つかの層を持つ家をつくった。
庭で獲れた野菜の保管や物干しの場となる土間=〈外〉は、最も外に近い場所である。そこに射し込む光は、木製ルーバーにより細分化され、木毛板やOSB等の肌理のある仕上を照らすことで、更に細密化される。こうして、木漏れ日のように砕かれた光と現わしの架構によって、〈外〉に樹下のような雰囲気が生まれる。
〈外〉から、更に室内化された食事室=《外》の天井は、異なるポリカ波板をパターン貼りして3段階の透明度を持たせている。木漏れ日がタープに陽と影の斑模様を描き込むように、この天井で拡散した光は、頭上に豊かな表情を描き出す。
《外》と建具で仕切られた最も室内的な場は、構造用合板とOSBで囲われた小さな小屋である。木毛板を下見板貼りとした屋根、雨戸風の引戸といった風貌はキャンプ場に佇むバンガローのようである。
こうしてできた、外から続く三つの層は、平面的にも立体的にも重なり合う。特に、ふと見上げた時の重なりは、景色のような遠さを感じさせ、平面的な奥行感とは異なる、名状し難い深みをこの家に与えている。