敷地は碁盤の目のように区画された住宅街の中。東西南北を基準に道路が整備され、道路に立ちその先を望むと周りの山々の緑を見ることができる。またその道路に沿って家々が建ち並んでいるため、家もまた東西南北を軸に綺麗に並び、その隣合う家々の間からもまた山々の緑を望むことができる。それら景色が見える事、場を道路から、又は住戸間からの『抜け』と捉えこの『抜け』を日常の暮らしの中で感じれる家を計画した。
まず家の中に東西南北の軸を考える。敷地のほぼ中央を南北に通る『抜け』これは北に山の緑、南は太陽の日差しを家へ取り込む。家へのアプローチ、階段スペースがそれに当たる。次に南寄りに西に通る『抜け』これは建ち並ぶ隣家が南側に庭を配置しているため、そこに『抜け』が生まれ山の緑を望む事ができる。リビングの吹抜からそれを望む。日常のなかで『抜け』は周りの景色と太陽の光、風を家の中にもたらす。住宅街の中、ほどよく閉ざされた家の中に『抜け』が存在することでほどよく外を感じる居心地のイイ家となった。